徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

術後初めての検査

退院後2週間で診察。普通は1週間後なんだけど、主治医が休診だったため。普通に診察を受けるので、検査の後に診察で、まずは視力検査・・・うわっ!

手術前は、視力検査のパネルなど全く見えないので、検査師さんがランドルト環の一番上を(つまり0.1)厚紙に印刷したものを持って目の前に立ち、次第に後ずさりして、左右上下を答えていた。50㎝刻みぐらいかな。それで5歩ぐらいで見えなくなってたから0.06ぐらいかな。それがですね、椅子に座って右眼を隠したら・・・うそっ!パネル見える!その日は0.2ぐらい見えたのかな。

0.2?それって見えるってこと?と思うかも知れませんが、全く違います。視力がよい人にはわからないんだけどね。

次は屈折率の検査・・・まずはこちらをご覧下さい。

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視力矯正の検査を受けたことがあるなら誰でも知っているこの画像ですが、私はこの画像が見えたことがありませんでした。青空の中に木が一本生えてるのかな・・・と思っておりました。え~っ!こんなんが見えるんだ!移植していない右眼は裸眼で0.1ぐらいあるのですが、気球とはわからない。感動ものでした。

 

次は眼圧?「緑の光をぼんやり見ててくださいね〜。風当たりますよ〜。」へ?緑の光って十字だったのか。手術前はアメーバにしか見えなかったよ?

 

驚きの連続で検査は進んで、そして「眩しくない」ことにも気づいた。検査のの時に眩しくて検査師さんに「頑張って閉じないで」と何回言われたことか。

 

でも不思議なんだよね。右眼は移植してないから、症状が変わるわけないんだけど、あの耐えられない眩しさを感じなくなってる。極度に悪かった左眼に支配されてたんだろうか。そのうちに先生に聞いてみよう。

 

と、まぁ、なんだかバラ色のような感じだけど、そうそううまくはいかない。

 

診察による外科的所見は問題なし。点眼だけは続けていく。そして矯正ですが。角膜移植は糸で縫う。それにより角膜に歪みが生じるか乱視になる、それは避けられない。そしてその矯正はコンタクトでする人が多い。でも私はできれば眼鏡にしたい。人に比べてコンタクト装着の違和感が少ない私ではありますが、面倒くさいことは事実。

 

でも主治医は言う。

 

「検眼はかなり大変だよ」と。

費用

角膜移植にかかる費用はドナーによって違う。

 

海外ドナーは自費なのでかなり高価。通院していたクリニックは片眼で120万となっている。でも海外ドナーは待機期間が短いし、手術日を決めることができるから、いきなり会社や学校を休むことにはならない。

 

国内ドナーは保険適用。50万ぐらいとなっている病院が多い気がするけれど、その3割負担(後期高齢者は1割?)。そしてもちろん生保の給付金対象。最大のデメリットは待機期間が長いことと、入院の連絡が突然来るから、予定が立たないことかな。(あとは以前にも書いたけど、待機期間はレシピエント登録している銀行の規模にもよるのでは…と感じている。)

 

私は国内ドナーで、しかも健保負担限度額ランクが「ウ」で、個室にも入らなかったから10万円もかかりませんでした。診療報酬明細を見たら手術は58000点だったから58万円ですね。限度額保険証がなければ、手術代の他に色々とあるので20万以上は支払うことになるから、健康保険のありがたみを感じました。

 

国内ドナーを待っていたら失明…とまではいかずとも、視力の低下は進行する。移植するかしないかを決めるのは最後は本人だけれど、2年ぐらいの待機できるのであればレシピエント登録してもいいんじゃないかなとは思う。

 

人それぞれなんだけどね。

自宅療養

しばらくは片眼・・・って「そもそも片眼で生活してたような移植前の私(by主治医)」だけど、右眼にコンタクト入れるとバランスが悪くなるから、それに慣れる練習もしなければならない。

 

(まだ術後二日だから左眼の視力は未知数の世界。)

 

しかしその前にまずは保護メガネ。眼鏡屋さんであれこれ説明するのも面倒だったので、とりあえず「眼を触りたくないので素通し眼鏡が欲しい」と言ったら、伊達メガネは扱ってないそうで。でも100均はすぐに壊れるし。「花粉症グラスの外ゴム取ったらどうでしょう?」と勧めてくれて、あらなかなかいい感じ。

 

当面これで生活することにして、そろそろ右眼のコンタクトを入れてみよう。

退院

手術の翌々日に退院だったのだが、朝、目ヤニで瞼がくっついている。洗い流しはできないから清浄綿で拭いたら茶色。たまたまそこに居合わせた看護師さんに見せたら「充血してるからね〜」・・・そーなのか?充血してる眼を拭いたら血液がつくのか?ま、いいか。流れてるわけでもないし。

 

退院前に診察。瞼がくっつくのは「目ヤニは出るからね〜」で終わってしまった。それでいいのか?実際のところ目ヤニは数日で治ってしまったけど。今のところは順調だけれど「変だったらすぐに連絡してね」と、拒絶反応の話。もちろん手術前に聞いてはいましたが。

 

一番顕著な症状は「見えなくなる」だそうです。この「見えなくなる」がどのようなものかは手術前だとわかんなかったな。移植して初めて「どのくらい私は見えなかったのか」と実感しましたからね。そう、以前のような見え方になったら拒絶反応だな。

 

拒絶反応が起こる可能性は3割ぐらいで、点眼などで7割は改善されるらしい。単純な計算だと、移植がうまくいかないケースは1割弱。安心とも不安とも思える数値ですが、それだけは祈るしかないですね。

 

手術が月曜日だったから、翌週の月曜日から自分で洗髪してもよいよ〜。ならその日まで仕事は休んでしまえ〜。と自宅療養5日間。

術後(翌日から退院まで)

しつこいようだが、無意識でも目を触ることは厳禁。ソフトゴーグルはずっと着けていた、売店に行く時もつけっぱなしだったけれど、病院であるからして、色んな物を身につけている人がウロウロしているので平気。

 

起きている時はそれで良かったけれど、寝ている時が問題。寝返りを打ったりうつ伏せになったりすると、ゴーグルが潰れて眼を圧迫してしまうし、やはり鬱陶しいものであるから、無意識に外してしまう恐れもある。

 

「仰向けに寝る!」と寝る前に自分に言い聞かせて、さながらミイラのごとく不動で寝るようにしていたら、腰にきた。腰痛持ちなので湿布は持参していたから貼ってしのぎました。

 

何もすることがないので、ゴロゴロしてました。コロナ禍で面会も禁止だったし、同室の人と話をしたりするのもあまりよろしくないし。とにかくヒマでしたが、コロナ受け入れ病院ではなく、病棟も比較的余裕があったので、看護助手さんに洗髪をお願いできてさっぱりしました。

 

病棟スタッフさんには皆さま良くしていただきましたね。洗顔ができないので、介護用の顔拭きを持って行きましたが、朝晩と食事の時と、温かいおしぼりを持ってきてくれたり、移植を受けた患者へのケアも慣れている感じで、色々と話しやすかったな。

点眼開始

角膜移植は手術後のケアが重要。点眼はほぼ一生続くと思ったほうがいい。そして勝手にやめちゃったりした場合に拒絶反応が起こったも症例もある。

術後は感染防止として抗生物質ステロイド剤が処方。抗生剤は飲み薬もあったけど、名前を忘れてしまった(^_^;)。点眼は「クラビット」と「リンデロン」。手術翌日の診察後に病棟薬剤師さんが来て服薬指導。

点眼前に手をきれいにすること、眼のまわりもクリーンコットンで拭くこと、そして、点眼の時に容器の口がまつげに触れないこと等々、とにかく「眼の中に雑菌が入らないようにすること」がすべてであります。

話は飛ぶけれど、手術後一週間ぐらいは洗顔できません。顔に水をバシャッとすると眼の中に入っちゃうからです。「水道の水は雑菌だらけだから」と先生も看護師さんも薬剤師さんも、みんなそう言うのですが・・・ある一定年齢以上の人ならば、学校のプールにあった眼を洗う水道蛇口覚えていると思うんですよ。あれって、もろ眼の中に雑菌を入れてますよね?逆効果だったんじゃね?

閑話休題。それで点眼は1日5回。薬剤師さんが時間を決めてくれたので、スマホのアラームをセット。病棟看護師さんにはその旨引き継がれたんだろう。点眼開始から一日半入院してたけど、点眼すると決めた時間に、必ず「点眼しましたか?」と部屋まで確認しにきました。

つまりはそれだけ点眼は重要ってことです。

手術翌日

翌朝に診察。寝たきりの必要はないので外来に行く。行くときは車椅子で戻りは歩き。助手さんが付き添ってくれた。

 

「昨夜は痛かった?」

「痛くはなかったけど、ガーゼがグチョグチョになってかえてもらいました。」

「涙出るからね。」

「みんな痛くなるんですか?」

「うん、痛くなるのが普通。」

 

みんな痛くなるのか。なら安心。

 

「じゃあはがすね」

 

・・・世界が一変していた。

 

「うゎっ、よく見える。」

「その手術したんだけど、ちゃんと理解してなかった?」

 

先生は心配したのか、眼球模型で手術の説明を始めました。いや、それは理解してますが、劇的に視力が回復するとは聞かされてないし、矯正は必要だとも言われてましたので、この世界の変化に戸惑っているのです。

 

とはもうせ、乱視はあるし(角膜移植後は乱視になります)、裸眼視力が突然よくなってるわけではないのです。右眼は移植してないし。

 

顕著なる変化は「鮮やかさ」です。透明度の高い水の中を見ているような感じ。昨日まで裸眼になると、物の輪郭なんてわからなかったのに。立体視が「底の方に見える」場合、見えた時に急に紙面が艶やかになりますが、正にそれでした。

 

次の診察は本来は一週間後ですが、来週は先生が休診。なので明日の午後にもう一度診察して退院です。

 

看護師さんからソフトゴーグルを渡されて、病室に戻りました。右眼のコンタクト入れてもいいよとのことでしたが、本当は裸眼で生活したいので、仕事に戻るまでは裸眼生活にチャレンジ。