徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

ロシア国立交響楽団〈シンフォニック・カペレ〉(7/16)

指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー
ピアノ:アンナ・フェドロヴァ

今宵ははオールチャイコプロ。

「スラブ行進曲」

この曲を聴くと中学時代の部活が蘇る。一日中アルトサックスのことばかり考えていたあの頃。ちょいとレベルの高い学校はこの曲を好んで演奏し、サックスの先輩もしきりにやりたがっていたが、技術はもちろんのこと、部員数も県大会どまりのクラスギリギリで到底無理な話だった。あれから半世紀近くたち、この曲を聴く機会が多くなり、でも、聴くたびに思い出すのは同じ風景。

演奏はですね、このオケは初めて聴きましたんですが、思っていたよりも柔らかいというか、何となく西欧チック。でも嫌いじゃない、

「ピアノ協奏曲 第1番」

演奏家の容姿について語ることはしない主義だけれど(だって関係ないもん)、実に美しい女性でありました。しかしながらその演奏は並々ならぬパワーに溢れていた。「端正」と表されることが多いようだが、それは得てして無機質ともとられてしまう。でもそんなことはなかった。

ルビンシテインでしたっけ?最初にこの曲を散々けなしたのは。第一楽章だけでもう終わってもいいほどのボリュームですしね。まぁよくもこんな曲を作ったものだとは思う。それで第二楽章だったかな、チェロが美しいメロディーを奏でるところがあって、ホルン席の見切れ席だった私はちと後悔した。

うん、好きな曲、聞き込んでいる曲には、文字通りの「見どころ」がありまして…。

アンコールはラフマニンフで、ネットによると相当の得手とのことでしたが、どうせなら「四季」とか演奏して欲しかったな~と、それはワガママです。

交響曲 第5番」

今年4回目のチャイ5。この曲ゆえにチケットを買い、お財布との相談でホルンが見える席を買ったのだ。だから低弦が見切れてもしかたないさ。

早すぎず遅すぎず、かといって淡々と流すわけでもなく、いかにものチャイ5だった。第二楽章の冒頭、ホルン1番氏がなかなか構えないので、ドキドキしちゃいましたが、パパッと構えて鮮やかにあの難所を演奏されました。チェロ奏で始めたときの3番氏も美しく応えて、もう世は満足じゃ。

何でかな、第二楽章では祈りのポーズになって聴いてしまうのに、終楽章コーダの時になると、こぶしを握ってしまうんですよ。ま、大体はそのまま席でガッツポーズしちゃうんだけどね。

私にとってチャイ5はチャイ5。ワーグナーとは別次元の心の糧である。

アンコール

チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より「葦笛の踊り」
チャイコフスキー:「眠れる森の美女」より「ワルツ」
ショスタコーヴィチ:「ボルト」より「荷馬車引きの踊り」

休憩時にグロッケンシュピールが設えてあるのに気づき、「眠り」は来るだろうと思っていた。そして、最初のカーテンコールの時にフルーティストが増えたので、それもすぐに納得。欧米ではバレエ舞台を振れない指揮者は一流と認められないと聞いたことがあるが、踊りが見えるような演奏でした。さすがはバレエ大国ロシア。

そしてその2曲目で終わると思いきや、まさか、ショスタコまでバレエでくるとが思わなかった。テンポがかなり早かったような気もするけれど、あれぐらいリズミカルの方が楽しかったな。

かくして幸せな夜は終わりぬ。

東京オペラシティ 3階R1列24番)