徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

ベンジャミン:オペラ『リトゥン・オン・スキン』[日本初演](8/28・8/29)①

前回・前々回のブログと同じで

サントリーホール サマーフェスティバル 2019
サントリー芸術財団50周年記念~
ザ・プロデューサー・シリーズ 大野和士がひらく

である。

詳細はリンク先をご参照下さいませ。

私は大野さんの大ファンで行ける公演は全て行く。同じ公演でも複数回聴く。まぁ今回はセット券なる破格にお得なチケットがあったということもあるが。そのおかげでRCブロックなどどいう、普通のオケ公演ではお財布が許さないような上等な席で聴くことができた。そして、いつものマイシートRAも別に買ったのだが、結果として、この二つの席で聴いたことは大いなる収穫でもあった。

久しぶりに終演後に満ち足りた感溢れた公演でもあったので、長文を書くことになりそうな気配ゆえ、何回かにわけることにした。

まず①は演出から。

初日は開演前20分ぐらいにホールに入った。ステージではオケの皆様が数名さらっていたが、その中に私服の男女がいた。しかも女性はステージに腰掛けている。誰だろう?いくらなんでも聴衆がそんなことしてるはずは・・・ん?何やら動きが・・・ダンサーのお二人でした。そうかダンサーもさらうのね。でも、かなり気合い入っていると言うか、凄いわぁ~、と思った初日。

ところが二日目。ほぼ開場と同時にホールに入ったら、すでにダンサーがP席に設えたステージ上にいて踊っている。しかも、その動きには確認的なものがなく、よどみなく動きは続く。そして前日に私がホールに入った時間と同じになり、やっと気づいた。

すでにステージは始まっているのだ。

ダンスの振付はダンサーご自身とのことだったが、それに関する記述やインタビューがなかったので好奇心だけが残った。もちろんそれを教えて下さる御方はちゃんと存在するのであるが、時間の関係でそこまでは無理だった。ま、自分であれこれと想像するのも楽しかろう。

ホールオペラではあるが、舞台は変則的三層とえも言えばよいか。いわゆるステージが12世紀。P席のステージが天使たちの立ち位置と、12世紀の3人の内面をダンサーが表現する場。そしてオルガン前にはスクリーンがあり、プロヴァンス地方(?)の自然を背景に、ストーリーの進行の具象化めいたものが映し出される。しかし、そこに現れる人物はすべて白いマスクで顔を隠しているので、映像の中には感情はないだろう。字幕もそのスクリーンに表示される。

(特筆すべきはその美しさ。スコアにして90分ぐらいの、現代オペラであるからできることかも知れないが、東京春祭のオペラでも、あの妙ちきりんなスクリーンなどやめて、今宵のようなものをやればいいのに。)

・・・という設えとなれば。

歌い手は活動弁士になってしまいませぬか?初日の冒頭で、いきなりそんなことを思ってしまったのだが、それは大いなる間違いだった。