徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

ベンジャミン:オペラ『リトゥン・オン・スキン』[日本初演](8/28・8/29)②

②は演奏について。

前回「これでは活動弁士になってしまいませぬか?」と思ったと書いた。そhしてそれは大いなる間違いだったとも書いた。

なぜなら、歌い手は「テクスト」を歌っているからなのだ。RA席でステージを見下ろしていると、12世紀の3人が時々後ろを見上げていることに気づく。その時の歌い手は第三者的であり、しかし瞬時にて一人称に戻る。演出家がこの作品とかなりの時間を割いて対峙したことの現れだろう。

しかしながら聴衆にとっては「見るところが多すぎる」と感じるかも知れないのだ。そのような感想もネットにはあるし、そうかとも思うが、Bブロックぐらいまでは、すべてを見ることができたはずだ。Aブロックや平土間10列目ぐらいまでは、ちと大変だったかも知れないが、集中力を欠くほどではなかったのではないか。

演奏の話になってないぞ。

「ゲンオン」と聞いて多くの人が想像するような、そういう音楽ではなかったと思う。RAを取った理由はただ一つ、大野さんがこのオペラを創る様を見たいだけだったけれど、いつも変わらぬ精緻な振りでしたね。


この時期、某所にてオールスター演奏会が開催されており、都響はかなりの人数がそちらに行っている。故に助っ人もいたと推測されるけれど、都響らしい厚みのある音は安心して聴けるものだった。

(まだ続きます)