徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

都民劇場音楽サークル 第665回定期公演 バルセロナ交響楽団(7/31)

指揮:大野和士

三味線:吉田兄弟

管弦楽バルセロナ交響楽団

ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲

大野さんの演奏でオペラの序曲や前奏曲を聴くのはかなり大変である・・・ってのは私の勝手な感覚でありまして、その後に幕が開き、そこに舞台が設えているような感覚なんである。であるからして、いつも何か物足りなさを感じてしまうのだ。あぁこれでおしまいなのか…ってな感じ。大野さんが日本でリングを振る日は来るだろうか。ま、とりあえずは来夏マイスタージンガーだからなと、ワーグナーな女はそこで我慢する。

ファビア・サントコフスキー:2つの三味線のための協奏曲

今宵の聴衆はチケットの目的買いではない人も多く、おそらくはいささかの戸惑いはあったと思う。毎度おなじみ「しゃべりたくてしょうがないを満載」のプレトークもあったのだけれど即座に理解できるはずもないしな。

かくいう私は、オーチャードにおけるこの演奏でいささか否定的な感想を書いてしまったのだが、今宵はずいぶんと違って聞こえた。はっきり言ってオーチャードは好きではないんだが、先週の席はまぁまぁの席であり、今宵も感覚的にはほぼ同じ。なのに、かなりバランスよいし、全体的に音もクリア。

これはもう、オケのコンディションのせいであるとしか言えないのではないか。しかしそんなことを尋ねるなどできませぬので、自分の中ではそういうことにしておく。

ソリストアンコール:鳥の歌(カザルス)

例えオーチャードで聴いていなくても、このアンコールは当然予想されてたと思うが、驚いた人がたくさんいた模様。ムチャクチャカッコよかった。

ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」

まさに水を得た魚のように演奏するオケを聴きながら、かなり混乱した。日本のオケにとって、西欧の音楽は自分たちの民族音楽ではない。だからなのか、どんな曲でもそつなく演奏するし、その曲に指揮者が強い思い入れなどを持っておれば、見事にそれを具象化してみせる。

しかし、今ここで繰り広げられている演奏は、何なのだ。大野さんが常に仰る「自分は作曲家と演奏家をつなぐパイプ役」は不要とまでは言わないけれど、オケそのものが、自分たちの音楽としてこの曲を表現できるのか?つまりそれはオケの得手不得手でもあるだろうが、実に見事な演奏でありました。

・・・サントリーもこっそりと行けば良かった・・・。

東京文化会館 4階L2列16番)