徒然な日々・零式

クラシックの演奏会を中心にあれこれと書いていきます。

都響 第884回&第885回 Aシリーズ&Bシリーズ 【若杉弘没後10年記念】(9/3・9/4)

サブタイトルの意味るすところは私にとってはあれから10年たったということだ。出待ち師匠に背中を押されて、大野さんに初めてサインをもらった日。あの時の感激は忘れられないし、あの時のバッハもしかり。本当はそのことを(追悼の話を)申し上げたかったけれど、ちょいとそれどころではなくなってしまって、ま、そんな古い話題は私の心の中にだけあればよいのだ。

指揮/大野和士
ヴァイオリン/ヴェロニカ・エーベルレ

ベルク:ヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》 

ブルックナー交響曲第9番 ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)

両方とも大野さんがレクチャー動画をアップされていたので、しっかりと予習はしていったが、ベルクは初めて聴く曲だったのでレクチャーだったけれど、ブルックナーは、版の違いなどわからぬ私なれど、9番はかなり好きなので、大野さんの指揮や表情を想像したりして・・・まぁ、それが意外と当たってたのよね(笑)。

ではまずベルクから。

大変申し訳ないのだが、私はこのソリストの音があまり好きではない。第三者的に聴けば、とても繊細な音と力強さも持ち合わせている素晴らしいヴァイオリニストであると思うけれど、それはそれ、これはこれ。しかしながら、なぜか彼女の演奏を聴く機会が多くて、しかも初めて聴く曲だったりするので、結果その曲の魅力を感じさせてもらったりして.

・・・そんなわけで最近は聴きながら微かに罪悪感まで感じるようなってしまい、成り行きでサインまで頂いてしまった時に、健やかな赤ちゃんの誕生をお祈りします・・・と、かろうじて伝えることができた。

(年明けにご出産予定です。)

さてブルックナー。上野で聴いた飯尾氏が「鉄の塊」と表現していたが、確かに推進力は感じたけれど、上野特有の硬質な響きゆえの(でも私はそれが好きだ)ことではないかと思っていた。

ブルックナーは上野向きではないという呟きが散見されたが、私にはそこまでの耳はない。)

しかし、サントリーで聴いたこの曲は、陳腐に言えば「ドヒャー」である。レクチャー動画でスコアを演奏しながらこの曲を語った、大野さんの音楽そのものがそこにあった。

失礼を承知で書くが、毎年この時期の都響は、かなりの人数が某オールスターフェスティヴァルに参加するため、演奏に疲れがあったり、いつもと音が違っていたりと、まぁ、色々と感じることもあったのだ。それが今年はお戻りいただいたメンバーもいまして、本来の都響の分厚い音で・・・マエストロの唸りと共に・・・ぶちかましたか?・・・もちろんいい意味で。

溜池山王のマイシートはRAである。前後左右、ほぼここ数年変わらないのだが、この日は前に知らない人が座っていた。感じとしては振替定期会員のように思えたが、第2楽章の途中から、フォルテになると耳を塞ぎ始めた。隣には何か説明していたけれど、伽藍に響き渡るような音に全身包まれて、それを(私のように)心地よく思うか、それとも「少しやり過ぎ」と思うかは感性の問題だろう。

さて。

二日目、すなわち9月4日はブルックナーの誕生日だった。私はブルヲタの仲間からそれを聞いて知っていたので、サインを頂きながらその話をしたら、ちょこっと喜んで下さって、演奏前にオケの皆様にもその話をしたんですよ~と笑顔を賜った。

多謝、ブルヲタ演奏会仲間。

東京文化会館 大ホール 3階L1列5番 サントリーホール 大ホール RA2列15番)