東京二期会オペラ 「サロメ」(6/5)
公演詳細は こちら をご覧くださいませ。
このとき 私はこのオペラの虜になったと言っても過言ではない。あれ以来数回ほど初台やその他のホールでも上演されていたと記憶しているが、お財布との兼ね合いであるとか、日程の都合であるとかで果たせずにいた。
今回聴きに行こうと思ったのは、ダブルキャストサロメの双方のご家族や友の会の人と知り合いになり、プッシュされたことと、私的にサロメよりも重要視しているヨカナーンの二人がどちらも好きな歌手だったからであります。
・・・そし日程的にこの一日しか聴きに行けなかったんであります。
サロメの圧勝でありました。凄いとしか表現のしようがございませぬ。終演後に友の会の知人にLINEしたら「ずっと歌いたかったんですよ」・・・って初めてだったんだろうか?だとしたらもう唸るしかないですなぁ。
舞台装置はシンプル。階段が交差する形でしつらえてあり、その交差の下に牢獄があると言う設定。歌手たちは階段を上り、下り、這いずり、そしてある時は横たわる。その動きそのものが、演じているロールの心の動きなのである。
オケは読響。イケドンオケなどと言われることもあるけれど、それは重戦車のような音を出せることの証であり、この不条理というか、おどろおどろしいというか、ストーリーとしてはもうどうしようもない(とまで言ったらいい過ぎか)、この作品全体を支配する「空気」を見事に醸し出していたと思う。オペラに長けたマエストロの力も大きいだろう。
帰宅して、前回のことを思い出し主人に聞く。
「あのさ、前にサロメ聞いたときに感想話してたら、あなた『ヘロデぃアスがバカなんだよ』とか言ってたでしょ?オスカー・ワイルドの戯曲とか好きだったの?」
「うん、一時期読んでたと思う。でもさ、ワイルドの作品と言えば俺には『幸福な王子』だぜ。」
え?え??え???
もはや還暦カウントダウンの歳になって、作者名を知ることになるとは。自慢ではないが、もとい、これだけは自慢でできるのだが、昭和40年代ぐらいまでの古今東西の児童書はすべて読んだと言っても過言ではない。「幸福な王子」なんて筋書き以上の紹介もできるほどだ。
なのに、なのに、あぁ、作者名にはなんと無頓着であったことか。
このあほさ恥じて、ナラボートのように・・・するわけないです。
(東京文化会館 3階L2列34番)