不便な日々
円錐角膜と診断されて、ハードコンタクトで矯正し始めたのは本当に遥か昔のことで、あの時から今日に至るまでに、様々な治療ができるようになった。矯正視力で普通に生活できているとは言え、矯正とはあくまでも対症療法であり、円錐角膜が進行するのを抑えることはできないから、やっぱ最後は移植なんだろうか、でもそこにはどのようにし辿りつけるのかもわからない。
オルソトロケラジーのニュースを読んだのはいつだったろうか。治療ではないけれど、日中裸眼でいられるってどんだけ素晴らしいんだろ。話だけでも聞きに行きたい・・・お金がなかった。貧乏ではなかったけど、余裕はなかった。
それにお金以前の問題があってさ。
「医者に一人で行くのは危険」。
眼科で診察を受ける時には、裸眼で来るように言われる。コンタクトはできれば一週間ぐらいは装用を中止するか、それが無理ならばせめて受診前日の夜からは外すことを求められる。まぁそりゃそうでありまして、でもコンタクトなしでは生活できない私がそうするには、誰かに付き添ってもらう必要があり、そりゃ主人でしょうが、仕事を休むことができない。
裸眼で道路を渡り、場合によっては電車に乗り、なんて危なくてできやしない。
かくして「見えてるからそれで良しとしよう」となり、コンタクト使用で生ずる不便さと共存するしかない日々がかなり長く続くのだった。